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貴金属加工現場の声

■ 金(Au)

一般的に使用される金材料は、4N以上とされますが、金地金にもブランドがあります。有名なところでは、スイスバンク、ジョンソンマッセイ、日本では、田中貴金属、三菱マテリアル辺りが一級品とされます。
それ以外のものでも4Nは保障されるのですが、実際に購入するときの価格にも差があります。ブランド名というわけでなく、四捨五入して5Nか、ぎりぎり4N等の違いが あり、その他にも、現場で加工している人間は、伸線加工するときに、良い地金は良く伸びると言われます。

伸びるといえば金箔です。
鍍金の技術が確立されて無い頃は、工芸品などに金箔を貼って、永遠の輝きを維持しようとしました。
金って、どれくらい伸びるかご存知ですか?1匁(いちもんめ)約3.75gの純金が、たたみ8畳分に伸びます。その時に、狸の皮に挟んでたたくと、良質の金箔が出来るとされていました。大昔の話です。現在は、金箔製造専用紙があるそうです。

狸の皮と、8畳敷きで気がつきました?「狸のきん○ま8畳敷き」の言葉の由来です。

貴金属製品の純度を表すのに18Kとか、24Kとか表示しますが、純金を24金とし、18金は24分の18、つまり75%の純度という事になります。
金の流通は、長らく英国が独占していたので、植民地の人間が覚えやすい十進法を使わずに、時計と同じ24進法を使ったのです。意地悪です。
金製品に18Kがよく使われるのは、純金では柔らか過ぎて加工後に変形してしまい、あまり純度を下げると汗などによる変色が発生してしまい、加工性と硬度と耐酸性のバランスの取れたポイントが18K、つまり75%純金ということです。残りの25%の不純物は、銀と銅が半々に入ると、 丁度純金の色に近くなります。不純物のうち、銀を沢山入れると、黄白色となり、硬度は柔らかくなります。銅を沢山入れると、赤色が強くなり、 硬度は硬くなります。半々割りと、銀割り、銅割りで3色になり、カルティエなどで製品化されている18Kのトリプルカラーの、リング等が出来ます。

金は、何故か融点がずっと低い鉛や錫などに食われてしまう性質があります。半田付けには要注意です。


◇純金線0.3mmφを使用し、インターコネクトケーブルを試作してみました。
バランス良く、破綻の無い音ですが、なにも高価な金を使う必要性を感じませんでした。


■ 白金(Pt)

大変融点が高く、高周波炉などが実用化されるまでは、線にするのも板にするのも大変でした。
貴金属製品で色の白い物は、 日本ではプラチナが一般的ですが、貴金属先進国のイギリスやフランスでは、加工性の難しさからプラチナを使用せず、18金の不純物に銀やニッケルなどの、白い金属を使用し、ホワイトゴールドとしていました。最近では、諸外国もプラチナを大分使うようになりました。価格的に金の約2倍、比重もある為、大変高価です。純プラチナ自体は、純金と同じで大変柔らかく、ぞれ自体で製品化すると、傷や変形が起きてしまう為、10%~15%のパラジウムや、銅を含有させ、 硬度を出します。俗に言われる900PT、850PTなどです。

プラチナは触媒や化学繊維のノズルなどに使用される為、投機性が強く、戦争などが始まると、戦略物資として買いが入り、価格的に大変不安定です。20年ほど前にイランがアメリカ大使館を占拠して、もう少しで戦争になりかけたとき、1g当たり12,000円というとんでもない値段が付いた事もあります。また昨今、燃料電池の触媒としての需要もあり、同じ白金族のパラジウムが純金の価格を上回り、 歯医者さんが入れ歯を作れずに困ってしまったという事態も起きました。

硬度自体はそれ程高く無いのですが、切るのも曲げるのもなぜか工具がすぐに駄目に なります。プレス加工等で使用する抜き型などは、金や銀が100時間持つなら、プラチナを加工すると、1時間で型が駄目になってしまいます。製品の表面に、カットをするときには、単石ダイヤモンド工具しか受け付けません。ダイヤモンド工具を使用しても、すぐにくもりや傷が入り始めます。細い線にするときなど、ダイスを使用するのですが、超硬製のダイスを使用しても、すぐにダイスが伸びてしまい、本来のサイズよりも太い線が出来てしまいます。 とにかく、溶かすのも切るのも曲げるのも溶接するのも、金や銀とは問題にならない位大変です。

従いまして、加工費も高価です。原材料が高いところに 持ってきて、加工費が高価なわけですから、プラチナ製品は高嶺の花です。


◇高純度プラチナ線0.3mmφで、インターコネクトケーブルを試作してみました。
とにかくボーカルの実体感は感動ものです。こんな音は初めて聴きました。しかし、あまりに 締りが無さ過ぎる為、ケーブル素材としては断念しました。
◇高純度プラチナ合金線0,3mmφでインターコネクトケーブルを試作してみました。
純プラチナ線インターコネクトケーブル試作品の中域の実体感が素晴らしく、忘れられません。 そこで締りを出そうと、85%プラチナに8%パラジウム、7%銅を含有させた合金を試してみました。狙い通り中域の突出した充実度を残し、締りのある低域、 程よく伸びた高域が実現できました。現在、製品化に向けて開発中です。


■ 銀(Ag)

銀は、適度な硬度、及び適度な伸び性を持ち、研磨も比較的簡単に出来る事や、手頃な価格、電気抵抗の低さなどから、 電材としては、リレーの接点や、線材のメッキ材として古くから馴染みのある素材です。また、スプーンや食器カップやトロフィーとしての材料としても 広く使用されます。しかし、貴金属としては、酸化特性が悪く、裕福な家庭では銀食器を磨く専門のメイドさんがいた位です。
酸化特性の悪さを利用し、 毒物に対して反応しやすい為、食器に利用されたという話もあります。江戸時代、当時の警察機構である同心が携帯していた十手の先端部も、 銀が貼ってあったそうです。簡易毒物テスターとして使用したそうですが、真意のほどは分かりません。

一般的な銀製品は、スターリングシルバーと呼ばれる 銀銅合金です。純銀だと、柔らかすぎる為、5%~7%程度銅を含有させ、硬度を上げます。ところが、銀に銅を含有させると、硫化が促進され、真っ黒に 変色してしまうことがよくあります。

銀のアクセサリーをつけたまま、硫黄成分の多い温泉に入浴すると、
一晩のうちに真っ黒に変色してしまいます。純銀は、一般的な大気中では、酸化膜を形成する事によって赤く変色し、それ以上黒く硫化することは余りありません。また、銀の酸化物は導電性がある 数少ない金属としても知られています。

実際に銀を使用し、色々な物を加工すると、切るのも簡単、削るのも簡単、融点も低い為、加工性は良いのですが、 不純物を取り込みやすく、伸び性は金やプラチナに比べ、かなり劣ります。

したがって、ケーブル用の細い線を作るときなどは、段階的にアニール処理と ダイス等のサイズを少しずつ変えていく等の配慮をしないと、表面が汚く、硬度にばらつきのあるものが出来てしまいます。特にアニール処理においては、 最低でも不活性ガスを充填した無酸化炉、理想的には水素ガス等を充填した還元炉を使用しないと、安定した商品はできません。

銀の値段自体は最近ではグラム/20円程度なのですが、溶解・圧延・線引き・アニール等の加工代金の方が遥かに高額になってしまいます。ちょっと見た感じでは、大気中でのガス溶解にて製造された線と大気を遮断した状態で作られた線の見分けがつきません。しかし、それぞれの線で信号線を試作してみると、全く違う音が出てきます。
一般に言われる銀線ケーブルの音質、つまり、高域がギラギラする・付帯音が付く・低域が出にくい等の音質は、まさしく大気中で製造された 銀線の特徴そのものです。しかしながら、線径を太くしていくと、上記の悪い特徴が消えていく傾向があり、純銀線は太い線が良いとされる傾向と一致します。

◇高純度純銀線でインターコネクトケーブルを試作してみました。
直径が4mmφのものがベストでしたが、いかんせん太く硬いのと、プラグの接続も困難な為、製品化は諦めました。